日本テレビのドキュメント'10「カツドウカ、政府へ」は、昨年秋、貧困問題解決のため、副総理からの依頼で内閣府参与になり、最近辞任することを表明したばかりの湯浅誠氏を数ヶ月間密着取材したドキュメンタリー。
30分番組につき、本当に「垣間見る」感じではあるが、湯浅氏の「苦悩」をベースに編集されている。 たまたま、『岩盤を穿つ』(文藝春秋)というエッセイ集を最近読んだばかりだが、湯浅氏のスタンスの取り方には非常に共感をもっている。 理屈をもてあそんだり、立場を固めたりする前に、一人ひとりの現場を大切にする感覚。または一つひとつ問題を解決していこうとする力。 これはメジローが取り組んでいる分野にもまさに共通する。 黒塗りの公用車で移動する場面で、湯浅氏はつぎのようにつぶやく。 「自分を信じてませんから。もし1年もこんなことを続けていたら、きっと慣れてしまうでしょう」 オリンピックセンターを公設派遣村とすることが決まったのだが、当初、申込者はたった4人しかいなかった。 これは、行政が効果的に情報を提供しようとする姿勢や発想に欠けているためである。 そこで湯浅氏の働きかけにより、首相がビデオメッセージを収録することとなり、ユーチューブにアップすることから、地上波のテレビニュースでも映像が流れるようになる。 そうして500人を超える人たちが入所することとなったが、それ以降も、行政の縦割りの壁に次々とぶちあたっていく。 この番組が浮き彫りにしていたのは、なんといっても「情報」が必要としている人に伝わっていかない「もどかしさ」である。 この番組を見ていて思い出したのは、大きな震災が起きた後などに、さんざん議論されたメディアが本来果たせるはずの役割についてである。 単に傍観者の立場から、「××さん(仮名)△△才」の一日をモザイクを入れながら密着するだけではなく、本来メディアが持っているはずの「情報を伝える力」を活用することはできないものだろうか。 (これは、この番組が何度も取り上げてきた「ネットカフェ難民」の取材でも感じるところである)
by mejiroh
| 2010-02-22 03:19
| 気になるメジロー
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