今日の日経新聞夕刊に「闘病記、図書館に集積-専門文庫作りに民間団体奔走」という記事が掲載されている。
この民間団体とは「健康情報棚プロジェクト」といい、図書館員、看護師、研究者、ジャーナリスト、患者当事者など約30人のメンバーで構成される民間研究プロジェクトだ。 私、あるいは家族や友人が病気にかかったとき、その病気の情報を得ようと思って、地元の図書館や書店に行っても、「家庭の医学辞典」や「××健康法」といった本ばかり多く、なかなか必要な情報が得られないことのほうが多い。 健康情報棚プロジェクトのメンバーの一人で、闘病記を中心としたオンライン古書店「パラメディカ」を主宰している星野史雄さんも、かつて奥様が乳がんと告知されてから、治療法や心の支えになるような情報を得ようとして苦労した経験をもつ1人。奥様を亡くされた後、星野さんはさまざまな闘病記を集めるようになり、疾患別に分類したリストづくりを続けている。 闘病記は、タイトルだけでは、どの疾患について書かれているのかわかりずらく、見つけにくい。 また、闘病記は自費出版などが多く、絶版になっているものが多いため、なかなか収集がむずかしい。星野さんは、各地のブック・オフなどを中心に、古書店を歩き回りながら、収集を続けているという。 いま闘病記が注目されているのは、おもにつぎの2つの側面からである。 1)病気の「先輩」の立場から、同じ病気を抱えている患者に伝えておきたいことが記されているので、患者の立場にたった役立つ情報を得ることができる 2)医療関係者や看護関係者が「患者の声」に耳を傾け、自らの医療や看護を見つめ直すための良い「教材」と位置づけられるようになってきた このプロジェクトでは、闘病記や患者会の会報などの情報収集・整理を進め、インターネットで検索できるようにするとともに、実際に手にとって見ることのできる「棚」を、公共図書館や医学図書館へ設置していくことを目的としている。 (6月中旬ごろ、東京都立中央図書館に開設される予定) なお、このプロジェクトが編集した初めての単行本『からだと病気の情報をさがす・届ける』は、UDライブラリーの1冊として、読書工房から出版されます。5月10日ごろの出版をめざして、いま鋭意編集作業中です。
by mejiroh
| 2005-04-19 19:57
| メジロー図書館
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