メジローが大学生の頃、「永遠の1/2」という映画(大竹しのぶ、時任三郎主演)を見て、佐藤正午の名前を知り、すぐに原作を読んで以来、書店で「佐藤正午」の名前を見つけると、反射的に本を購入している。
「ジャンプ」という小説はもう数年前の本で、たまたま冒頭から半分くらいまで読んだところで、ツン読になっていたのを、最近思いだし、栞をはさんであった箇所からそのまま後半を読むことにした。(佐藤正午さん、変な読み方をしてすみません!) この小説でもじつは冒頭からラストまでに、5年という年月が流れている。 けっこう5年というのは、振り返ってみればあっという間でも、やはりいろいろな出来事、そして変化が公私ともに起きているわけで、自分はまったく変わっていないけれど、環境や周囲の人々だけが変化しているように感じがちだが、じつは自分も、5年前の自分と比べてみれば、いろいろと変わっているのかもしれない。 この小説の主人公・三谷はただ一点、「なぜ彼女が姿を消してしまったか」を執拗に追いかけていく。とてもリアリティがあるのは、三谷の行動はあくまでも仕事上のスケジュールが優先であって、追跡調査自体は仕事の合間の休日などを使っていることだ。 メジロー自身も、じつは同じような「なぜ」をひきずりながら、解決する手がかりをつかめないまま日常を送っている。決してふだんは表にでてこない感情であるが、無意識の中でやはりしっかりと思いを抱え込んでいて、三谷と同じように時々「夢」の中にあらわれ、朝、締めつけられるような思いを体の奥底に感じながらも、なにごともなかったかのように通勤電車へ向かう日々を過ごしている。 これがハリウッド映画だと、たとえば「天使のくれた時間」のニコラス・ケイジとティア・レオーニのように「やり直す」チャンスが与えられるのだけれど、現実はなかなかそうはいかないものですよね。
by mejiroh
| 2005-05-22 18:05
| メジロー図書館
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