衆議院の文部科学委員会で、児童文学者でもある肥田美代子議員が、弱視の子どもたちが利用できる拡大教科書の供給体制の問題を取り上げるということで、メジローも傍聴してきた。質問時間は40分間。おもなポイントは、以下のようなもの。
1)文部科学省が弱視児童・生徒の数を把握していないのはなぜか。 2)ボランティアが煩雑な事務作業に追われている現状を改善できないか。また、 申請期限、納品期限の弾力的な適用を徹底してほしい。 3)ボランティアに依存している製作体制を安定したものにする方策はないか。 たとえば、教科書会社からのデータ提供や、教科書会社自身が拡大教科書も製作す ることは検討できないか。拡大教科書の検定教科書化は検討できないか。 4)センター試験における弱視受験者への配慮が不十分ではないか。 これらは、衆議院のビデオオンデマンドサービス(無料)でやりとりを見ることができる。 (ビデオライブラリー:12月1日文部科学委員会。「参照」から「肥田美代子」のリンクへ進む) ちなみに、4)のセンター試験における弱視受験者への配慮は現在、希望者に14ポイント明朝体での提供(元の問題用紙を拡大コピー)、1.3倍の時間延長(点字受験者は1.5倍)を行っているが、英検で採用されている18ポイント、あるいは拡大教科書で主流となっている22ポイントゴシック体の採用はできないかという議員の質問に対し、文部科学大臣の回答は、「18ポイントにすると、1ページの文字数が少なくなるため、一つの設問が複数にわたってしまう。図表を伴う設問については図表が大きくなりすぎて、全体を見ることができなくなる。さらに冊子の分量が膨大になり拡大鏡を使う受験生にとってはかえって見づらくなる」といったもの。 これはとても象徴的な回答といえるのではないか。文部科学省では、弱視者用に1種類の手段しか用意できないと考えているようだが、パソコンなどを利用すれば、試験問題のカスタマイズは容易なことであり、「選択肢」を広げる発想がないのだなと思う。 かつて、大学の点字受験が全国に広がった契機の一つとして、当時の共通一次試験で点字受験が認められたことが大きかったといわれている。その意味で、センター試験の拡大受験問題も、ねばり強く取り組んでいくべきであると実感した。
by mejiroh
| 2004-12-02 11:27
| メジローが行く!
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