8月3~4日にかけて、福井で開催された全日本盲学校教育研究大会で書籍販売。年に1回開催されている研究会だが、なんと今年が第81回! ひじょうに歴史のある大会なのである。
研究会で販売といっても、販売できるのは休憩時間だけに限られるので、じつは待ち時間が多い。 そこで合間を盗んで、村瀬学さんの『自閉症』(ちくま新書)を読んでいると、最後のほうで佐藤幹夫氏の『自閉症裁判~レッサーパンダ帽男の「罪と罰」』(洋泉社)が紹介されていた。2001年4月に浅草で起きた通り魔殺人事件の裁判を取材した本で、この被告が自閉症であるといわれている。被害にあったのは、当時19歳の女性だった。 この本が出た昨年春、たいへん気になっていながら、なんとなく買いそびれていた本だ。 初日の研究会が終わり、会場のワシントンホテルを出ると、夕方ではあるがまだまだ暑い。汗をかきながら、福井城址の北側に位置するビジネスホテルにチェックイン。 フロントでモデムを借り、LANにつないで、メールチェックなどをしたあと、ついでに書店を検索してみると、最寄りの書店は、勝木書店と紀伊國屋書店。どちらも閉店時間は7時30分となっている。 勝木書店のHPは在庫検索ができるようになっていたので、検索してみると、在庫は無し。(ちなみに、チェーン店全体に「在庫無し」だった) 時計を見るとすでに7時を過ぎていたが、西武百貨店の5階に入っている紀伊國屋書店へ行ってみることに。 地方都市にわりと多いが、福井も福井城の跡地がそのまま福井県庁になっている。ホテルは城址の北側に位置しているので、お堀にそって、南側に向かうと、福井駅前に出る。 駅前に出る途中、なんの鳥かよくわからなかったが、木のまわりをたくさんの鳥が盛んにさえずっていて、少しびっくりしたが、通行人はまったく気にもとめていない様子なので、めずらしいことではないのかもしれない。 駅からアーケード街をめざし、西武百貨店の中へ。エスカレータがよくわからなくて、階段で5階へ上がる。すでに閉店5分前。「帰宅を促すBGM」が大きなボリュームで流れる中、長年のカンを頼りに、まずは「障害児教育」関係の棚へ。「自閉症」の本は並んでいるが、目当ての本は無い。半ばあきらめながら、「社会問題」の棚を見ていくと、裁判関係の本が並んでいて、「自閉症裁判」の背文字を見つける。 おお、お前はこんなところにいたのか。 近くの越前そばの店で、「お市そば」という5種類の割子そばを食べながら、さっそく本を読み始める。 著者の佐藤幹夫氏は、養護学校で20数年教員をしていた経歴をもつジャーナリストである。 出発点はおそらく「自閉症という障害のある被告がどう裁かれていくのか」に徹底して立ち会うことにあったと思うが、被害者、被告双方の家族への丹念な取材を通し、司法の場、あるいはマスコミ報道だけでは到底明らかにされない数々の真実が明らかになっていく中で、単純には割り切れない思いを吐露しながらのルポになっている。 とくに印象的だったのは、マスコミ報道がいかに表面的なものであるかという事実と、しかし著者自身もそうしたマスコミ側の人間であると自覚したうえで、被害者家族や親族に会いにいくエピソード。 そして、この本を読まなければ知り得なかった被告の父や妹にまつわるエピソードはたいへん重たい現実をつきつけてくる。
by mejiroh
| 2006-08-05 17:48
| メジローが行く!
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