1月21日(日)大阪市立中央図書館で開催された「LLブック(読みやすくわかりやすい本)を進める」というシンポジウム(主催:知的障害・自閉症児者のための読書活動を進める会)に参加しました。
LLブックという言葉、一般にはまだ馴染みが少ないと思われますが、LLとは、スウェーデン語のLåttlåstの略語で、「やさしく読める」という意味だそうです。 日本でLLブックという名前を使って出版されたものには、『山頂にむかって』『リーサのたのしい一日』(いずれもスウェーデンのLLブックの翻訳。愛育社刊)、『ひろみとまゆこの2人だけのがいしゅつ』(大阪府立金剛コロニー監修、清風堂書店刊)などがあります。 日本で出版されているLLブックの特徴としては、おもに文章が理解しずらい読者のために、やさしい文章を使い、漢字にはすべてルビをふる、写真を多用する、ピクトグラムを添えるなどのくふうが挙げられます。 シンポジウムでは、日本における事例がいくつか紹介され、また知的障害のある読者の立場から「こういう本が欲しい」といった発表がありました。 とくに印象的だったのは、子ども向けの本は、比較的わかりやすいものが作られてきているが、大人の知的障害者のニーズにあったわかりやすい本が少ないという指摘でした。 最後の「LLブックの制作とわかりやすく書くためのガイドラインを作るためにどうすればいいか」というテーマのパネルディスカッションの中で、パネリストの方が「ガイドライン作りも大切であるが、一方で作家を元気づけていく活動を通して、LLブックの事を知ってもらう機会を増やしていくことも必要」といった趣旨の発言をされましたが、私も大いに共感しました。 児童書や絵本のガイドラインを作るのはあまり意味が無いように、いきなり「LLブック」のイメージを固定化させてしまうのではなく、読みやすくわかりやすい本を求める人たちの姿を念頭に置きながら、(それを制約と考えるのではなく)オリジナリティや創作意欲を発揮することができる作家を育てていくこと(そこには当然、読者自身が作り手になることも含まれる)が大切なのだということになるでしょう。 そのためには、作り手と読み手の出会いの場を増やしていくような地道な努力も必要なのだと思います。 具体的には、オーサービジットなどの手法も有効なのではないでしょうか。 また、必ずしも商業出版だけを意識しなくても、パソコンによるレイアウトや、オンデマンド印刷が普及してきていますので、学校や施設単位で、または個人でオリジナルLLブックを制作していくことも可能だと思います。
by mejiroh
| 2007-01-27 17:20
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