先日、博物館関係の方との打ち合わせの中で「展示評価」という言葉があることを知った。
キュレーター、デザイナー、エデュケーターなどの存在は比較的よく知られているが、それ以外に、エバリュエーター(Evaluator)という専門家が存在しているとのこと。 博物館の役割が、収集・分類・保存などを中心した専門的な学術研究の場から、幅広い市民の学びを担う役割にシフトしはじめ、展示のわかりやすさ、親しみやすさ、アクセシビリティなどが求められるようになってきている中で、利用者の立場に立った調査や評価はとても大切なことだと思う。 (ちなみに、動物園や水族館なども博物館の一つである。近年話題になっている旭山動物園の行動展示は、その成功例としてわかりやすい) さっそく博物館の評価に関する本を何冊か読んでみたが、たとえば、『入門ミュージアムの評価と改善』(アム・プロモーション)は専門以外の人間にもわかりやすい説明がなされていて、興味深かった。 展示評価をはじめとする、博物館評価において、来館者調査を実施するのが一般的だが、その手法としては大きく分けて、「探索的アプローチ」と「検証的アプローチ」があるという。 前者は、問題の所在がわからず、課題が漠然としている場合に、何らかの仮説を探すための調査で、10~20人程度のモニターを任意に抽出して意見を聞く、あるいはアドバイザリー・グループを組織しておいて、定期的な集まりをもちながら意見を聞いていく方法である。 後者は、ある仮説に基づいた実践に関する評価を計量的に行うもので、サンプル数も数百という単位が必要とされている。 そして、アウトリーチを考えるうえでは、「非来館者(非利用者)調査」が重要である。 なかなかむずかしいことではあるが、この調査においては、「なぜ利用しないのか」「どこに利用しずらさ(バリア)があるのか」「どんな潜在的なニーズがあるのか」を探っていくことが求められている。 これは、出版社や図書館など読書環境のデザインを生業にしている者にとっても、共通するアプローチであると思った。
by mejiroh
| 2007-02-09 22:54
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