今日はたまたま講演会が午後、夜と二つ重なり、それぞれ観客がまったく異なるため、少々気をつかったが、ぶじ終えることができた。
まず午後1時半からは、「手をつなごう全ての視覚障害者全国集会」の午後の部のゲスト。 この全国集会は、毎年開催されている行事とのことで、午前中は、厚生労働省、警察庁、国立国会図書館、経済産業省、松下電器産業をまわり、要請を行ったそうだ。 要請の内容は、かなり具体的なもので、たとえば厚生労働省に対して、日常生活用具の給付事業については、以下のような改善点を掲げている。 ・視覚障害者用活字文書読み上げ装置の支給対象機種を「紙に書かれた文書を音声に変える機能を持つ各種機器・ソフト」とし、限度額をせめて拡大読書器と同額にして下さい。 ・日常生活用具の電磁調理器の費用上限額を大幅に引き上げ、IHクッキングヒーターが購入できるようにして下さい。 ・視覚障害者用ポータブルレコーダーの給付対象を障害者手帳3級に拡大して下さい。視覚障害者3級の人は、強度弱視であり、読み書き困難な者も多くいます。 また、次のような要請も盛り込まれていた。 「録音テープ、DAISY、大活字図書の購入に際し、原本との価格差を公費で保障する制度を創設して下さい。中途視覚障害者にとって点字の習得は容易ではありません。読書権を保障する視点では、上記媒体の既に果たしている点字とは異なる役割に注目する時期に来ています。」 この価格差保障という考え方は、1970年代から視覚障害者読書権保障協議会などが中心に唱えてきた大切な概念で、メディアが多様化してきた今日、あらためてクローズアップされるべきテーマであると思う。 私の講演の中でも、NPO法人バリアフリー資料リソースセンターの活動の紹介を通して、この点に触れた。 また、読書のバリアフリーへの取り組みをリードしてきたのは、視覚障害当事者であったというお話をした。 (なごや会をはじめとする「図書館利用に障害のある人へのサービス」の実践や、アメディア、大活字などの起業。また、1990年代のFDブッククラブの取り組みが、現在でも光文社や徳間書店のテキストデータによる電子本販売につながっている点を紹介) 夜は、日本教育会館で開催された日本電子出版協会デジタル情報ビジネス研究委員会の第2回セミナー「さまざまな読者のニーズから考える書籍のユニバーサルデザイン~読書障がい者が本当に求めているものとは?~」に、松井進さん(バリアフリー資料リソースセンター副理事長)、近藤武夫さん(東京大学先端科学技術研究センターバリアフリープロジェクト助教)とともに出演。 出版UD研究会とのコラボレーション企画ということで、出版UD研究会ではいつもワンテーマを2時間かけて取り上げているが、今回のは、その「入門編」といった内容。 私は、「出版社が参画するUDプロジェクトの可能性」というテーマで30分の講演。 とくに出版関係者に伝えたかったメッセージは、「障害者問題」とひとくくりにしてしまうと、どうしても「特別扱い」や「恩恵」を求めるような論議になりがちであるが、じつは「読みやすさ」や「使いやすさ」を考えることは、読者(利用者)共通の問題であるし、製品やサービスを提供する側からいえば、顧客サービスの根底を考え、見つめ直すことにつながる。 ただし、「みんな一緒」といった安易な方向に議論が流れてしまうと、どうしても最大公約数志向となり、個別・固有のニーズ(とくにマイノリティのニーズ)を満たす方向とは逆行してしまうので、多様性をつねに意識しておくことが肝心であるということ。 具体的には、ワンソース・マルチユースの研究と実践への協力を呼びかけた。 今回は、出版関係者よりも印刷会社の方が多く参加されていたのが印象的だった。 懇親会のあと、いつもの出版UD研究会スタッフや宇野和博(筑波大学附属視覚特別支援学校教諭)さんなどと、神保町のさぼうるで飲みながら、いつもよりも熱いUD論議に花をさかせた。 by mejiroh | 2007-07-30 23:54 | メジローが行く!
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