2月8日の夜、東京しごとセンター5階・第2セミナー室で、第19回出版UD研究会を開催。
昨年3月から約1年にわたり、「シリーズ・わかりやすく伝える」というテーマで、連続学習会を開催してきた、一応の最終回。 (今年の春以降、年に1~2回程度、「出版UD基礎講座」を開催できるよう、プログラムを企画中。そのメドがある程度ついたら、研究会定例会のほうも再開したいと思います) 東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野の近藤武夫さんをゲストスピーカーに、これまでの総括をかねて、認知の障害と「わかりやすさ」について講演いただいた。また今回は、アスペルガー症候群当事者のお二人をゲストに、トークショーも実施した。 近藤さんとスカイプを使って、打ち合わせをしている時、近藤さんがおっしゃった一言が忘れられない。 「研究会の参加者が、対岸の火事を見にくるような感じにはしたくない」 研究会に参加される方の意識はさまざまだと思う。 私は出版関係者(とくに作り手の側)が「読者の声」を直接聞く機会が意外に少ないということを実感してきているので、第1回めから意識的に、さまざまな読者のニーズを当事者または当事者に近い立場の方(家族や教員、研究者など)から伺う機会をできるかぎり設けることを第一に考えてきた。 たしかに参加される方の中には、自分の本業とは切り離したうえで、「困っている人をなんとかしてあげたい」という意識の方もいらっしゃるかもしれない。 たとえば著作権における「権利制限の拡大」の議論においても、出版社サイドは、「障害のある人が困っていることは大変よくわかる。よって、「障害者」の利用に限定し、決められた施設に限定したうえで、媒体変換(たとえば音訳・拡大など)することは全面的に認める。ただし、それが一般の人に流失し利用されては困る」ということを発言しているようだが、UDをめざす立場からは、とても納得できるものではない。 どのようなメディアであっても、利用したい人が利用できるような出版システム、そして図書館サービスを考えていく必要があるのだ。 ※いわゆるコピー防止(=著作権保護)とは別問題である。あくまで技術的な問題にすぎないのだが、(意図的にか?)混同されがちである。 私や一緒に運営を手伝ってくれている事務局スタッフの意識としては、研究会をきっかけに、「出版とは何か」「本とは何か」「デザインとは何か」ということをあらためて捉え直し、あくまで自分の問題として、日々の仕事を見直してみるきっかけにしたいという気持ちが強くある。 自分の手がけている書籍やデザインに、ある立場の読者にとってある程度共通する「アクセス不能」、あるいは「わかりにくさ」や「不快さ」が存在するとすれば、できる範囲で解消していきたいと考えるのはとても自然なことではないだろうか。 そして、それはいろいろな意見を聞きすぎて中途半端なもの(=最大公約数)を作ろうというのではなく、むしろ合理的な手段を使って、複数の選択肢を用意できるシステムを考えようということである。 今後は、この研究会での「出会い」や「気づき」をきっかけに、さまざまなプロジェクトが具体的に始まることを大いに期待している。 by mejiroh | 2008-02-09 19:15 | 出版UD研究会
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