3月31日に『盲ろう者への通訳・介助―「光」と「音」を伝えるための方法と技術』
(全国盲ろう者協会・編著)を出版します。 この本では、多種多様な通訳手段が紹介されていますが、じっさい全国盲ろう者協会の事務局で開催された編集会議自体も指点字通訳あり、FM補聴器を使っての音声通訳あり、手のひらに文字を書く手書き通訳ありと、編集委員のかたわらにそれぞれ通訳者がついてという形式の会議で、それを何度も繰り返したうえでできあがった本です。 指点字通訳のいくつかの方法や指文字の一覧表などがイラストで掲載されていますが、イラスト一つ一つについても、実際に通訳をされているスタッフの方々からいろいろな意見がはいり、何度も描き直しながらの編集作業になりました。 この本の編集をするにあたり、自宅の書棚からひさしぶりに取り出した本があります。 『ゆびで聴く―盲ろう青年福島智君の記録』 メジローが学生の頃、点訳サークルをやっていた関係で視障学生会という団体に顔を出すようになり、その頃、盲ろうの大学生だった福島智さんと知り合いになりました。 (当時、視障学生会では、「門戸開放」というスローガンの元、各大学ごとに点字受験・拡大文字受験・試験時間延長などの配慮を要望する活動をメインにしていました) 先の『ゆびで聴く』は、私が出版社に勤めだした頃、出版された本で、いつか自分もこのような本を企画して手がけられるといいなと思ったものです。 ドイツ文学を専門としながらも障害学生支援に尽力されていた千葉大学の小島純郎教授(2004年逝去)と筑波大学附属盲学校の塩谷治教諭(当時)が中心となって活動されていた「福島智君とともに歩む会」が母体となり、1991年に社会福祉法人全国盲ろう者協会が誕生。 (現在、塩谷先生は、全国盲ろう者協会の常務理事・事務局長を務められています) その後、全国の都道府県ごとに盲ろう者友の会が結成されるようになり、1996年東京都において「盲ろう者向け通訳介助者派遣事業」が実施され、2000年からは全国で「盲ろう者向け通訳・介助員派遣試行事業」が開始。障害者自立支援法が施行された2006年からは盲ろう者向けの通訳・介助者養成事業と派遣事業が都道府県地域生活支援事業として位置づけられるようになっています。 たまたま私はそうした取り組みにかかわっている方を何人か存じ上げていましたので、今回の本を世に出すためのお手伝いをさせていただくことができ、とても感慨深いものを感じています。
by mejiroh
| 2008-03-30 14:55
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