文京区目白台にある筑波大学附属盲学校4階の一室に、「便利グッズサロン」がある。中をのぞいてみると、視覚に障害をもつ子どもも一緒に楽しめるおもちゃや、ボタンを押すと音で時間を知らせてくれる時計、ICタグを利用することで持ち物や服が区別できる機器、拡大読書器、音声や拡大ソフトを入れたパソコンなどがずらりと展示されている。
この便利グッズサロンが生まれるきっかけは、いまから6年ほど前にさかのぼる。その当時、弱視者問題研究会の集まりにいくと、長机の上に、会員自身が使ってみたら便利だった商品が展示されていることが多かった。そして、全国の支部集会などでも展示できるように、グッズをトランクいっぱいに詰め込んで、宅配便で送りあったりしていた。その様子を見ていたメジローが弱視者問題研究会のメンバーに相談して誕生したのが『見えない・見えにくい人の便利グッズカタログ』(弱視者問題研究会編)という本である。 本が出版されると、今度は「実際にグッズをさわってみたいがどこにいけば見られるか」という問い合わせが寄せられ、それをきっかけに「便利グッズサロン」が生まれた。当時は、『便利グッズカタログ』を出版した大活字社の一室を借りてスタートしたが、今年の4月から筑波大学附属盲学校の教室に常設されている。 この便利グッズサロンの特徴は、学校の先生と、ボランティアスタッフが一緒になって運営していることで、ボランティアスタッフはみな視覚に障害をもっている当事者である。 また、もうひとつの特徴は、便利グッズを紹介するだけではなく、生活全般についての情報交換を行ったり、スタッフがアドバイスをしたりと、双方向型の場所をめざしていることだろう。 便利グッズサロンのスタッフは、自分たちの足を使って、時には100円ショップ、時には東急ハンズに出没し、自分たちが使えそうなグッズを地道に探している。アイディア商品は一般的に寿命が短いため、せっかく視覚に障害をもつ人にとって便利なグッズを「発見」しても、それが口コミで広がった時には、すでに製造中止になっていたという笑えない話が多い。 便利グッズサロンは、「商品が売れないと嘆いている」メーカーと「欲しいものが買えない」ユーザーの橋渡しをする機関の一つとして、とてもたいせつな場所になってくるのではないだろうか。 #
by mejiroh
| 2004-11-17 14:42
| メジローが行く!
バリアフリー資料リソースセンター(BRC)設立準備会では、視覚に障害のある人の読書に関するアンケート調査を実施しています。調査に協力していただける方は、brc@d-kobo.jpまでご連絡ください。(調査の〆切は12月10日です)
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by mejiroh
| 2004-11-10 22:57
| BRC情報
出版の仕事をはじめて約20年になる。
学生時代に、盲学校の生徒への朗読ボランティアに参加したことをきっかけに、視覚障害者読書権保障協議会(視読協)のメンバーと出会い、点字図書、録音図書もけっして充分に揃っているわけではないが、弱視者向けの拡大図書(拡大写本)はさらに圧倒的に不足しているということを知り、出版社につとめるようになってからも、いろいろな立場の読者がいるのだということがいつも気にかかっていた。 2004年4月23日(サンジョルディの日)、自分で出版社をはじめることとなり、「誰でも」「自分の選んだ本が」「自分の選んだ読書スタイルで」読める読書システムの実現を究極の目標に置くことに決めた。 メジローという名前は、多感な学生時代を過ごした目白に事務所を置いたことに由来しているが、JR目白駅のホームの女性アナウンスが「メジロー、メジロです」と聞こえるのが面白かったからでもある。 #
by mejiroh
| 2004-11-10 21:41
| メジローが行く!
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