「木更津キャッツアイ」というTVドラマでは、22歳の主人公に死が宣告されていて、高校の同級生である仲間たちと、いつ本当の別れを告げることになるのかというのが一貫したテーマとなっていた。
もちろん同じようなテーマのドラマや映画はこれまでもたくさん作られてきたわけだが、脚本家の宮藤官九郎は、仲間が経営している行きつけの飲み屋で、主人公に「じつは俺もうじき死ぬんだ」と語らせる。 ところが仲間たちは、それをうまく受け止められないばかりか、話題をどんどんそらしていく。 このへんの感覚がとても現代的だと思う。 間近の現実にうまくリアルを感じられない。 人間関係の間合いがうまくとれない。 3年前の「日本シリーズ」と名付けられた映画では、いったん死を迎えた主人公を生き返らせたりして精一杯「引っ張って」いたが、今回の映画は、「完結編」であることが最初からうたわれていて、いよいよ本当に完結させなければならない。 軽快さを狙った演出とは異なり、ストーリー自体はたいへん重たいテーマを真っ正面から扱っていた。 見舞いに行くことがためらわれたり、告別式の場面では本当に泣けなかったというエピソードはリアルだと思った。 ほんとうに「別れ」をいうことのむずかしさを考えさせてくれる映画であった。
by mejiroh
| 2006-11-25 15:01
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