1976年から約30年にわたり、定期的に開催されているという「本の会」に初めて参加した。
303回目を数える今回の講演者は、株式会社トランスビューの工藤秀之氏。 トランスビューは3人でやっている小さな出版社だが、最近急逝された池田晶子さんの『14歳からの哲学-考えるための教科書』など、2001年創業以来、数多くのロングセラーを出版し、書店との直取引をメインに据えた営業方式でも知られている。 トランスビューで営業を担当している工藤氏の講演は、質疑応答も含めて1時間半ほどであったが、「本をどのように届けていけばよいのか」というテーマについて、たいへん示唆に富む内容だった。 たとえば、つぎのような話しが印象に残っている。 「出版社から見たお客さんというと、ふつうはエンドユーザーをイメージするものだが、私の場合は、書店員もだいじなお客さんと考えている」 出版社はもっと本を届ける立場の人(書店員をはじめ、図書館員、ボランティアなど)の存在を意識し、コミュニケーションをとる努力をしていく必要があるだろう。 「取次からの委託配本に頼っていると、返品対策のために、出版スケジュールがタイトになり、本当はまだ出すレベルではないのに、無理して新刊を出すような流れになってしまう。書店直販方式の最大のメリットは、経営的なことに左右されず、編集者が自信をもって出せると判断したタイミングで出版できることである」 ちかごろは「経営とはスピードである」といった言説がさかんで、一刻も早く決断し、一刻も早く製品を世に出すことこそ成功につながるものだと思われがちであるが、(むかし坂本九も歌っていたように)本当に大切なのはタイミングなのだ。
by mejiroh
| 2007-05-03 03:41
| メジローが行く!
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