久石譲さんが久しぶりにエッセイを出していることに気づき、10数年ぶりに読んだ。
最初『感動をつくれますか?』(角川oneテーマ21)というタイトルは安易なような気がしたが、読み終えてみると、本の内容をよく象徴している言葉であることがわかる。 著者は、元々現代音楽やミニマル・ミュージックなどをやっていた人で、音楽大学を出て、10年ほど続けているうちに閉塞感を覚えるようになる。そこから宮崎駿や北野武、大林信彦監督などの映画音楽を手がけるようになるのだが、著者によると、毎回が「予定調和にならないよう」真剣勝負の連続だという。 「ものをつくることを職業としていくには、一つや二ついいものができるだけではダメだ。生涯に一作であれば、誰でもいい曲がつくれる。(略)必要最低限のスキルを見につけて本気で取り組めば、どんな人でも立派な作品を生み出すことができる。だが、仕事は“点”ではなく“線”だ。集中して物事を考え、創作する作業を、次へまた次へとコンスタントに続けられるかどうか。それができるから、作曲家です。小説家です、映画監督ですと名乗って生きていける。 優れたプロとは、継続して自分の表現をしていける人のことである。(p20-21)」 「点」で満足してしまうような仕事はしたくないというところにとても共感するし、(ある程度のクオリティを維持しながら)「線」につなげていくことはとてもむずかしいことを実感する日々である。
by mejiroh
| 2008-09-15 01:58
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